川柳 天根夢草選  ・ 川柳をつくってみよう  

天根夢草 1942年島根県生まれ 1959年から川柳を始める  番傘川柳本社同人を経て「川柳展望」創刊に参画。

正月

コロナ禍でいつもと違うお正月  笹部/井谷定男
正月もコロナコロナで様変わり  東ときわ台/瀬野圭子
初詣でコロナ終息先ず願う    ときわ台/大杉徳子
コロナ自粛お節料理を食べ飽きる  岡山市/古徳春奈
コロナ禍で不要不急の寝正月   長尾町/瀧 健三
夫婦してコロナに備え寝正月   大和西/井口久男
お年玉口座振込みおめでとう   東ときわ台/門 德江
お年玉キャッシュレスでは味気ない  東畦野山手/秋山 敏
グーグルの画面ですます初詣   大和西/小野いつ子
初詣あれもこれもと願をかけ   光風台/山下祐一
神様にムリは頼まぬ初詣     大和西/小野靖通
年賀状俺は生きてる忘れるな   大和東/野中健一
年賀状毛筆で牛書いて出す    大和東/宮本福子
添え書きに頭をしぼる年賀状   大和東/高橋昌道
数枚になった賀状を読み返す   光風台/岡田重子
元日の朝刊の束重いこと     ときわ台/小林順子
おせち買いこんなに楽と知りました  ときわ台/松林道子
正月と箱根駅伝見て思う     緑が丘/長谷川由紀
ババ抜きで皆盛り上がるお正月  光風台/四位好子
大吟醸ちびりちびりと松の内   大和西/山口 景
佳・年賀状毎年同じ顔浮かぶ    大和西/山下 卓
佳・年賀状出さねば縁も消えてゆく  東ときわ台/宮村順子
佳・事故予防気を引き締めて餅食べる  大和西/樫本真季
佳・正月は思考を止めているテレビ   長岡京市/西山竹里
秀・厳粛な雪降る中の初詣     周南市/秋貞敏子
◎次の題「読む」2月10日締切
◎秀に選ばれた方にクオカード(千円)を差し上げます。

正月に正月の川柳をつくるのは当然である。が、敢えて「正月」という題を出して、強制的に「正月」の川柳をつくってもらった。
集句、192句
どんな正月か。時事川柳に近い「コロナ」関連の川柳が多かった。入選句の冒頭6句が「コロナ」である。新型コロナ一色の世情から、これはやむを得ないことである。
ほかに、どんなテーマが多かったか。統計をとってみた。
多かった順に
新型コロナ関係  35句
年賀状      23句
初詣       19句
お年玉      15句
おせち料理    11句
雑煮        6句
遊び        6句
初夢        3句
寝正月                      3句
初日の出     3句
以下は「箱根駅伝」「七草」「とんど」「門松」「書き初め」「年始の挨拶」「宝くじ」などだった。
因みに「コロナ菌」は間違いで「コロナウィルス」だと思う。
「紅白歌合戦」もあったが、、NHKの「紅白」は、12月31日だから「正月」か、どうか。
次の課題は「読む」。何を読むか、どのように読むか—。

電気

通天閣赤色点いて引き締める    ときわ台/松岡悠利子
コロナ禍もネオン輝く夜の街    大和東/石田隆司
近大に電気ウナギの研究を     東畦野/秋山 敏
テレビです電気芝居じゃありません    大和東/野中健一
夕焼けに電柱の影美しい       光風台/村上洋美
電柱に張り付けられた標示板    大和東/白井育子
電線に雁字搦めの凧の糸      ときわ台/大杉徳子
電線がなければスズメとまれない   ときわ台/小林順子
僕よりも長持ちしそうLED     大和西/小野靖通
火種なく老いに優しいIH    東ときわ台/宮村順子
ビ、ビ、ビ、ビ、ビ電気が走り彼に惚れ 東ときわ台/門 德江
心臓も自己発電で動いてる     大和西/小野いつ子
ガスレンジ電池をくれと着火せず    緑が丘/長谷川由紀
猫抱いて電気毛布のエコロジー     光風台/岡田重子
停電にローソクつけてお茶を飲む    ときわ台/松林道子
ソーラーのパネルが並ぶ田んぼ道     長尾町/瀧 健三
キーキーと始発電車のきしむ音      大和西/山口 景
日光も風も電気に変えられる       大和東/高橋昌道
セーターを脱ぐとパチパチ静電気     光風台/四位龍夫
佳・充電が増え忙しいコンセント     光風台/勝藤 隆
佳・ヘルツ数どうして違う西東      大和西/山下 卓
佳・変圧器載せて電柱重たそう      岡山市/古徳春奈
佳・イルミネーション枝の枝まで装飾す  東ときわ台/瀬野圭子
佳・電飾に乙女心が蘇る         大和西/樫本真季
秀・楽そうに電気つくっている風車    周南市/秋貞敏子
◎次の題「正月」1月10日締切
◎秀に選ばれた方にクオカード(千円)を差し上げます。

課題「電気」で2句目の発表に「コロナ禍もネオン輝く夜の街」という石田隆司さんの川柳があります。応募句の中には、
コロナ禍でイルミネーション寂しそう
という山下卓さんの川柳もありました。「ネオン」と「イルミネーション」は少し違いますが、同じ「コロナ禍」を扱っても発想が違います。他人と違う発想をすることによって独自な川柳ができます。他人と同じでは、おもしろくありません。
山下卓さんの川柳では、佳作の「ヘルツ数どうして違う西東」がありました。「ヘルツ」は単位ですから、「周波数」の上5音のほうがいいのではないか、と思ったのですが、作者の山下さんの原作通りにして発表しました。川柳は一句ずつ、作者本人のものですから、選者の私が改作したり添削したりするのは、よくないと思います。
「電気」では、
自由化で電気契約どこにする   笹部/井谷定男
電灯があるから美しい夜景    光風台/勝藤 隆
太陽光発電元はとれたかな    東ときわ台/瀬野圭子なども入選作です。
次の題は「正月」です。一月、初詣、お年玉、年賀状など、正月に因むことを詠んで下さい。

反対

反対で敵わなかった都構想     ときわ台/松岡悠利子
反対と叫んで進むプラカード            大和東/高橋昌道
イエスマンばかりじゃ組織腐敗する        東畦野/秋山 敏
代案が特にないのに反対し               大和東/石田隆司
反対をすれば政府ににらまれる         長岡京市/西山竹里
国会中継反対意見いつもあり            東ときわ台/瀬野圭子
反対も数えて決める多数決             長尾町/瀧 健三
粋がって反対をする反抗期      周南市/秋貞敏子
菊の鉢反対側に置くもよし     大和東/宮本福子
顔立てて反対と言う意気地なし        ときわ台/小林順子
反対の色重ねるとさえる味     光風台/近藤 理
反対をしてもおんなじ議員たち   光風台/大原和子
反対をするには覚悟決めてから   大和西/生島伊都子
出来ちゃった婚反対してももう遅い   東ときわ台/門 徳江
左右反対気にせず履ける下駄ぞうり 東ときわ台/宮村順子
反対に反対してる反対派      大和東/除門一喜
反対の意見を聞いて決意する    笹部/井谷定男
顔色を伺いながら反対す       光風台/村上洋美
逆らえば毒を盛られる国もあり   大和西/小野いつ子
佳・反対の人切り捨てる怖い人    ときわ台/松林道子
佳・反対の意見が出れば盛り上がる       大和東/野中健一
佳・反対に文字書いてから彫る判子     岡山市/古徳春奈
佳・反対の文字でなければならぬ印       大和西/小野靖通
佳・傾いた反対側に乗るヨット     光風台/勝藤 隆
秀・原発に反対なので節電す         緑が丘/長谷川由紀
◎次の題「電気」12月10日締切
◎秀に選ばれた方にクオカード(千円)を差し上げます。
葉書、メール、FAXで応募出来ます。奮ってご参加下さい。
666-0111川西市大和東4-1-5   ASAサカタ㈱川柳係宛

今回の課題「反対」の入選句のつづきです。
反対をしてみたものの自信無し    大和西/山下 卓
さかさではお役に立たず乾電池    大和西/山口 景
反対はほとんど出ない給付金     光風台/勝藤 隆
回文できる日本語とても面白い    岡山市/古德春奈
反核の旗が振れない被爆国      光風台/松本員子

佳作の松林さんの「反対の人切りすてる怖い人」は菅総理をモデルにした川柳だと思いましたが、一般の人のことかもしれません。
村上さんの「顔色を伺いながら反対す」は、心理状態がうまく詠まれていると思いました。
「都構想二度とも民意反対に」という応募句がありました。この句の後ろに「なりました」と続きます。句の後ろに「ました」がつくと報告になります。報告句にならないようにして下さい。
同じことを二度もするのは、どうか、と批判したらよい川柳になると思います。
たとえば、
都構想選挙2回はしつこ過ぎ とか、のように。
次回の課題は「電気」です。
「電灯」「電線」「電柱」など発想を広げて下さい。

必要

新米のおにぎりに要るお漬物  大和西/小野靖通
必要に迫られマスク買いに出る ときわ台/大杉徳子
外出に今はマスクが必要だ   光風台/村上洋美
障害手帖どこへ行くのも道連れに  豊中市/安本重子
印鑑はテレワークには不必要   大和東/高橋昌道
瓶の蓋開けるのに要るお父さん  光風台/勝藤 隆
必要以上に保険勧誘高齢者    東ときわ台/瀬野圭子
新聞は電子版よりやはり紙   東畦野/秋山 敏
必要か不必要かは妻が決め   大和東/野中健一
味噌必要味噌入れてこそ味噌汁に   東ときわ台/門 徳江
必需品米みそ醤油日本人    大和西/山口 景
ハイヒール出番がなくて処分する  ときわ台/小林順子
時時の必要経費チェックする  大和東/白井育子
階段の下りはいつも手すり持つ ときわ台/小西智與子
サイレンを鳴らして走る消防車 長尾町/瀧 健三
必要な時だけ動く高齢者     笹部/井谷定男
佳・実印も必要のない日が来るか 光風台/松本貞子
佳・蓋ないと水筒持って歩けない  周南市/秋貞敏子
佳・歯の手入れ歯間ブラシは必需品   緑が丘/長谷川由紀
佳・免許更新認知テストは欠かせない  東ときわ台/宮村順子
佳・面子など必要のない老い一人    大和西/小野いつ子
佳・名水を必要とする酒造り     ときわ台/松岡悠利子
佳・広い家必要のない老夫婦      大和西/樫本真季
佳・反対意見あって当然民主主義     岡山市/古徳春奈
秀・マラソンに絶対必要なゴール    長岡京市/西山竹里

◎次の題「反対」11月10日締切
◎秀に選ばれた方にクオカード(千円)を差し上げます。

「必要」という題で作っていただきました。次の句は入選25句の中に入りませんでしたが、入選です。
番犬も必要とされなお吠える       光風台/岡田重子
たこやきにタコがなければ詐欺である   光風台/勝藤 隆
和食には必ず箸がついている       光風台/勝藤 隆
葬儀場にほほえみ愛想不必要      東ときわ台/宮村順子
トランプに必要性のないマスク     ときわ台/松岡悠利子
封書には切手貼らねば届かない      岡山市/古徳春奈
いつかまた要りそうで物捨てられぬ   周南市/ 秋貞敏子
初谷川に落葉必要ハイキング       光風台/大原和子
外出時錠は必要帰るまで         大和東/宮本福子
特売日要らぬ物まで買ってくる      光風台/四位龍夫
外出に不要不急があるのかな       光風台/山下裕一
タコのないたこやきは詐欺だという勝藤さん。
玄関の施錠は「帰るまで」必要だと思っている宮本さん。マラソンにゴールは必要であるという西山さん。マラソンにゴール地点がなかったら、息の続く限り走らなければならないのか。びっくりする発想である。「必要」には佳句が多かった。

試し

コロナ禍で試食も減った百貨店    東ときわ台/門 徳江
新しい総理技量が試される      大和東/臼井育子
目覚ましを夜中に試し叱られる     笹部/小出隆男
何かしら試食販売人だかり       緑が丘/長谷川由紀
ひとつ買うつもり試食に手を伸ばす    周南市/秋貞敏子
試食はね ちょびっとだから美味しいの  光風台/浅海裕子
土産店 試食ばかりで買わぬ客     光風台/四位龍夫
付箋貼るワインの試食あるツアー   光風台/松本貞子
あれこれと試飲してから買うワイン ときわ台/松岡悠利子
サンプルで効果が出れば勝れ物     大和西/生島伊都子
CMに誘われ漁る試供品         光風台/山下祐一
消火器に試し求めぬ信頼度      東ときわ台/宮村順子
一夜漬け試験終わればほぼ忘れ      光風台/勝藤 隆
ジェットコースター度胸の有無を試される岡山市/古徳春奈
赤い服試しに赤いルージュひく     ときわ台/大杉徳子
試し書きして選びたいボールペン     大和西/樫本真季
ひょっとして監視されてる試着室     大和西/小野靖通
運転より認知テストが気にかかる     長尾町/瀧 健二
試されるため生かされるモルモット    大和西/小野いつ子
佳・試食して買わずに帰る勇気なし     笹部/井谷定男
佳・熱烈な想いをバラに試される     光風台/大原和子
佳・模擬試験重ねるごとに自信つく    大和東/高橋昌道
佳・試し斬りする必要はない刀     長岡京市/西山竹里
佳・ちょっとなら覗いてみたい黄泉の国  大和西/山口 景
秀・試着室これときめたらこれである  東ときわ台/瀬野圭子
◎次の題「必要」10月10日締切
◎秀に選ばれた方にクオカード(千円)を差し上げます。
葉書、メール、FAXで応募出来ます。奮ってご参加下さい。
666-0111川西市大和東4-1-5  ASAサカタ㈱川柳係宛

 川柳を読むと本当におもしろい。色々な人が川柳を作る。その人々は、みんな違う人(考え方や背景など、など)だから、作る川柳も違う。
 同じ題なのに、それぞれ違う川柳を作る。同想句や類想句もあることはあるが、同一句はないのである。
 みんな違う川柳。
 それぞれ、みんないい。
 今回は「試し」で作句してもらった。何を「試す」か、まず着想が大切である。
 小出さんは「目覚まし時計」を試し、宮村さんは「消火器」を試し、樫本さんはボールペンを試し、西山さんは「刀」の「試し斬り」に着想した。それぞれおもしろい。
 試着、試食、試験、試飲は着想が多いので、その中で入選になるためには仕上げ方をじょうずにしなければならない。
 瀬野さんの秀句は、断定(決めつけ方)がおもしろい。迷っているところを断ち切っている心の動きがよく表現されている。 山口さんの「黄泉の国」は、「試し」ということばを遣わずに、おもしろい願望をうたってある。「願望」の句は、大体弱いが、この川柳は例外である。
 次の題は「必要」。何が必要か、着想の妙を示していただきたい。たのしみに待っている。

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