川柳 天根夢草選  ・ 川柳をつくってみよう  

天根夢草 1942年島根県生まれ 1959年から川柳を始める  番傘川柳本社同人を経て「川柳展望」創刊に参画。

反対

反対で敵わなかった都構想     ときわ台/松岡悠利子
反対と叫んで進むプラカード            大和東/高橋昌道
イエスマンばかりじゃ組織腐敗する        東畦野/秋山 敏
代案が特にないのに反対し               大和東/石田隆司
反対をすれば政府ににらまれる         長岡京市/西山竹里
国会中継反対意見いつもあり            東ときわ台/瀬野圭子
反対も数えて決める多数決             長尾町/瀧 健三
粋がって反対をする反抗期      周南市/秋貞敏子
菊の鉢反対側に置くもよし     大和東/宮本福子
顔立てて反対と言う意気地なし        ときわ台/小林順子
反対の色重ねるとさえる味     光風台/近藤 理
反対をしてもおんなじ議員たち   光風台/大原和子
反対をするには覚悟決めてから   大和西/生島伊都子
出来ちゃった婚反対してももう遅い   東ときわ台/門 徳江
左右反対気にせず履ける下駄ぞうり 東ときわ台/宮村順子
反対に反対してる反対派      大和東/除門一喜
反対の意見を聞いて決意する    笹部/井谷定男
顔色を伺いながら反対す       光風台/村上洋美
逆らえば毒を盛られる国もあり   大和西/小野いつ子
佳・反対の人切り捨てる怖い人    ときわ台/松林道子
佳・反対の意見が出れば盛り上がる       大和東/野中健一
佳・反対に文字書いてから彫る判子     岡山市/古徳春奈
佳・反対の文字でなければならぬ印       大和西/小野靖通
佳・傾いた反対側に乗るヨット     光風台/勝藤 隆
秀・原発に反対なので節電す         緑が丘/長谷川由紀
◎次の題「電気」12月10日締切
◎秀に選ばれた方にクオカード(千円)を差し上げます。
葉書、メール、FAXで応募出来ます。奮ってご参加下さい。
666-0111川西市大和東4-1-5   ASAサカタ㈱川柳係宛

今回の課題「反対」の入選句のつづきです。
反対をしてみたものの自信無し    大和西/山下 卓
さかさではお役に立たず乾電池    大和西/山口 景
反対はほとんど出ない給付金     光風台/勝藤 隆
回文できる日本語とても面白い    岡山市/古德春奈
反核の旗が振れない被爆国      光風台/松本員子

佳作の松林さんの「反対の人切りすてる怖い人」は菅総理をモデルにした川柳だと思いましたが、一般の人のことかもしれません。
村上さんの「顔色を伺いながら反対す」は、心理状態がうまく詠まれていると思いました。
「都構想二度とも民意反対に」という応募句がありました。この句の後ろに「なりました」と続きます。句の後ろに「ました」がつくと報告になります。報告句にならないようにして下さい。
同じことを二度もするのは、どうか、と批判したらよい川柳になると思います。
たとえば、
都構想選挙2回はしつこ過ぎ とか、のように。
次回の課題は「電気」です。
「電灯」「電線」「電柱」など発想を広げて下さい。

必要

新米のおにぎりに要るお漬物  大和西/小野靖通
必要に迫られマスク買いに出る ときわ台/大杉徳子
外出に今はマスクが必要だ   光風台/村上洋美
障害手帖どこへ行くのも道連れに  豊中市/安本重子
印鑑はテレワークには不必要   大和東/高橋昌道
瓶の蓋開けるのに要るお父さん  光風台/勝藤 隆
必要以上に保険勧誘高齢者    東ときわ台/瀬野圭子
新聞は電子版よりやはり紙   東畦野/秋山 敏
必要か不必要かは妻が決め   大和東/野中健一
味噌必要味噌入れてこそ味噌汁に   東ときわ台/門 徳江
必需品米みそ醤油日本人    大和西/山口 景
ハイヒール出番がなくて処分する  ときわ台/小林順子
時時の必要経費チェックする  大和東/白井育子
階段の下りはいつも手すり持つ ときわ台/小西智與子
サイレンを鳴らして走る消防車 長尾町/瀧 健三
必要な時だけ動く高齢者     笹部/井谷定男
佳・実印も必要のない日が来るか 光風台/松本貞子
佳・蓋ないと水筒持って歩けない  周南市/秋貞敏子
佳・歯の手入れ歯間ブラシは必需品   緑が丘/長谷川由紀
佳・免許更新認知テストは欠かせない  東ときわ台/宮村順子
佳・面子など必要のない老い一人    大和西/小野いつ子
佳・名水を必要とする酒造り     ときわ台/松岡悠利子
佳・広い家必要のない老夫婦      大和西/樫本真季
佳・反対意見あって当然民主主義     岡山市/古徳春奈
秀・マラソンに絶対必要なゴール    長岡京市/西山竹里

◎次の題「反対」11月10日締切
◎秀に選ばれた方にクオカード(千円)を差し上げます。

「必要」という題で作っていただきました。次の句は入選25句の中に入りませんでしたが、入選です。
番犬も必要とされなお吠える       光風台/岡田重子
たこやきにタコがなければ詐欺である   光風台/勝藤 隆
和食には必ず箸がついている       光風台/勝藤 隆
葬儀場にほほえみ愛想不必要      東ときわ台/宮村順子
トランプに必要性のないマスク     ときわ台/松岡悠利子
封書には切手貼らねば届かない      岡山市/古徳春奈
いつかまた要りそうで物捨てられぬ   周南市/ 秋貞敏子
初谷川に落葉必要ハイキング       光風台/大原和子
外出時錠は必要帰るまで         大和東/宮本福子
特売日要らぬ物まで買ってくる      光風台/四位龍夫
外出に不要不急があるのかな       光風台/山下裕一
タコのないたこやきは詐欺だという勝藤さん。
玄関の施錠は「帰るまで」必要だと思っている宮本さん。マラソンにゴールは必要であるという西山さん。マラソンにゴール地点がなかったら、息の続く限り走らなければならないのか。びっくりする発想である。「必要」には佳句が多かった。

試し

コロナ禍で試食も減った百貨店    東ときわ台/門 徳江
新しい総理技量が試される      大和東/臼井育子
目覚ましを夜中に試し叱られる     笹部/小出隆男
何かしら試食販売人だかり       緑が丘/長谷川由紀
ひとつ買うつもり試食に手を伸ばす    周南市/秋貞敏子
試食はね ちょびっとだから美味しいの  光風台/浅海裕子
土産店 試食ばかりで買わぬ客     光風台/四位龍夫
付箋貼るワインの試食あるツアー   光風台/松本貞子
あれこれと試飲してから買うワイン ときわ台/松岡悠利子
サンプルで効果が出れば勝れ物     大和西/生島伊都子
CMに誘われ漁る試供品         光風台/山下祐一
消火器に試し求めぬ信頼度      東ときわ台/宮村順子
一夜漬け試験終わればほぼ忘れ      光風台/勝藤 隆
ジェットコースター度胸の有無を試される岡山市/古徳春奈
赤い服試しに赤いルージュひく     ときわ台/大杉徳子
試し書きして選びたいボールペン     大和西/樫本真季
ひょっとして監視されてる試着室     大和西/小野靖通
運転より認知テストが気にかかる     長尾町/瀧 健二
試されるため生かされるモルモット    大和西/小野いつ子
佳・試食して買わずに帰る勇気なし     笹部/井谷定男
佳・熱烈な想いをバラに試される     光風台/大原和子
佳・模擬試験重ねるごとに自信つく    大和東/高橋昌道
佳・試し斬りする必要はない刀     長岡京市/西山竹里
佳・ちょっとなら覗いてみたい黄泉の国  大和西/山口 景
秀・試着室これときめたらこれである  東ときわ台/瀬野圭子
◎次の題「必要」10月10日締切
◎秀に選ばれた方にクオカード(千円)を差し上げます。
葉書、メール、FAXで応募出来ます。奮ってご参加下さい。
666-0111川西市大和東4-1-5  ASAサカタ㈱川柳係宛

 川柳を読むと本当におもしろい。色々な人が川柳を作る。その人々は、みんな違う人(考え方や背景など、など)だから、作る川柳も違う。
 同じ題なのに、それぞれ違う川柳を作る。同想句や類想句もあることはあるが、同一句はないのである。
 みんな違う川柳。
 それぞれ、みんないい。
 今回は「試し」で作句してもらった。何を「試す」か、まず着想が大切である。
 小出さんは「目覚まし時計」を試し、宮村さんは「消火器」を試し、樫本さんはボールペンを試し、西山さんは「刀」の「試し斬り」に着想した。それぞれおもしろい。
 試着、試食、試験、試飲は着想が多いので、その中で入選になるためには仕上げ方をじょうずにしなければならない。
 瀬野さんの秀句は、断定(決めつけ方)がおもしろい。迷っているところを断ち切っている心の動きがよく表現されている。 山口さんの「黄泉の国」は、「試し」ということばを遣わずに、おもしろい願望をうたってある。「願望」の句は、大体弱いが、この川柳は例外である。
 次の題は「必要」。何が必要か、着想の妙を示していただきたい。たのしみに待っている。

鳴る

思い出す鐘の鳴る丘聴いたころ      長尾町/瀧 健三
クラクション鳴らして道をゆずり合う 新光風台/三阪キヌヱ
風鈴がかすかに鳴って涼を呼ぶ    ときわ台/松岡悠利子
ジンジンと集団で鳴くセミの声     緑が丘/長谷川由紀
雷鳴にテレビゲームのプラグ抜く     光風台/松本員子
雷鳴に取りあえず窓閉めまわる      岡山市/古徳春奈
明日は雨膝がコキコキ鳴る時は     光風台/岡田重子
鐘二つ鳴って残念のど自慢        東ときわ台/門 德江
寺の鐘ボーンと鳴って告げる刻      光風台/四位龍夫
静寂のひなびた寺の鐘が鳴る      大和西/生島伊都子
風鈴の音色優しく鳴り響く       光風台/四位好子
わかりよい音楽鳴らすゴミ収集車     東ときわ台/瀬野圭子
火災警報二度も鳴らしたことがある    東ときわ台/宮村順子
改札機警報音が鳴り響く        大和西/樫本真季
携帯の鳴る音で知る置いた場所     大和東/白井育子
留守番犬インターホンは鳴らぬよう    光風台/浅海裕子
鈴が鳴るお殿様のみ通る道       光風台/村上洋美
散歩の子キュックキュックと遠ざかる   大和西/山口 景
願掛けの気持ちを込めて鳴らす鈴    大和西/小野靖道
ブザー鳴りエレベーターを降りる僕    東畦野/秋山 敏
始業ベル鳴って静かになる校舎      周南市/秋貞敏子
佳・鳴りやまぬ目覚まし時計オフにする ときわ台/大杉徳子
佳・終戦日平和の鐘が鳴りひびく     大和東/野中健一
佳・火災報知器試しに鳴らす年一度    光風台/勝藤 隆
秀・本当に鳴るかわからぬ非常ベル    長岡京市/西山竹里
次の題「試し」◎9月10日締切◎秀に選ばれた方にクオカード(千円)を差し上げます。

今回は「鳴る」という課題によって作句していただきました。「鳴る」という題ですから「鳴く」は題から外れます。
ですから、長谷川さんの「ジンジンと」は、本来の題からは外れています。
「鳴く」では、
「セミが鳴く鳴くためだけに生きている」という野中健一さんの秀句がありました。「鳴る」とは違うので没にしました。
他に、「鳴く」では、
からす鳴き今日はゴミの日忘れてた/宮村順子
雨上がり待ってましたと蝉が鳴く/松岡悠利子
などもありました。
「鳴る」の入選句では「鳴る」は入っていませんが、山口さんの「キュックキュックと」というオノマトペ(擬音語)を面白いと思いました。オノマトペといえば岡田さんの「膝がコキコキ」も面白いと思いました。
オノマトペを遣うとリアリティー(迫真性)のある川柳が出来ます。試してみて下さい。
次回は「試し」という課題にしました。「試す」「試そう」「試される」」など、みんなOKです。「試作」「試食」「試飲」など字結びのことばも、ほとんどOKです。「試験」も試す意味がありますのでOKです。よろしくお願いします。

悔しいねコロナの為に閉める店   東ときわ台/門 德江
寂しいねシャッター閉ざす店多し   大和東/白井育子
コロナよけ閉じた鼻口マスクする  ときわ台/小林泰一
家計簿を閉じて十万来るの待つ   長尾町/瀧 健三
目を閉じて好きな曲聴く自粛中   光風台/松本員子
自主要請つられて心閉じている   岡山市/古徳春奈
目を閉じて遠く聞こえる虫の声    大和東/野中健一
閉じた口開けて餌待つ燕の子     ときわ台/大杉徳子
長い期間閉店セールやっている    大和西/樫本真季
戸を締めて鍵かけるのは妻の役   東ときわ台/金田幸枝
「カギ閉めた」再度確認今日もまた  東ときわ台/瀬野圭子
非常時に国会閉じてどこへ行く    大和東/石田隆司
スーパーの閉店前の特価品      大和西/釋 桂子
冷蔵庫閉まってないと鳴るブザー   光風台/岡田重子
ピーと鳴れば慌てて閉める冷蔵庫   光風台/村上洋美
母が言う開かぬ貝は食べるなと    東畦野/秋山 敏
湿気ぬようきっちり閉める海苔の蓋   ときわ台/小林順子
閉じた口顔を上げたら開いてくる     大和東/高橋昌道
エレベーター開けるつもりが閉を押す ときわ台/松岡悠利子
軍艦島閉じて無駄なく観光化      東ときわ台/宮村順子
佳・証明用写真必ず口閉じる      大和西/小野靖道
佳・口閉じていてはできない歯の治療   周南市/秋貞敏子
佳・駐車場では忘れず車ロックする     光風台/勝藤 隆
佳・目を閉じて過去の風景思い出す   大和西/生島伊都子
秀・厳かに扉を閉じる霊柩車      長岡京市/西山竹里
次の題「鳴る」◎8月10日締切◎秀に選ばれた方にクオカード(千円)を差し上げます。
葉書、メール、FAXで応募出来ます。奮ってご参加下さい。

今回は「閉」という題で作句していただきました。「閉じる」でも「へい」でもいいと思って出題しました。
よい川柳を作る人は、色々なことを思いつくものです。他人様の川柳を読むと勉強になります。
番場の忠太郎瞼を閉じて母に逢うは、門徳江さんの川柳です。
いい川柳です。とんでもない発想が、とてもおもしろいと思いました。
一斉に電車のドアは閉じられる
食べられてなるかと閉じる貝の口
きっちりと区切りを付けるカギ括弧
は、西山竹里さんの川柳です。それぞれに、おもしろいと思いました。電車の扉が同時に閉められるー発見です。観察でもあります。そのことを「当たり前」と思わないところに発見があります。
貝は人間に「食べられてなるものか」と思っていることでしょう。二枚貝も巻貝も、蓋を固く閉じています。「貝」の擬人化の川柳です。
「カギ括弧」の川柳は「閉」ということばを遣っていませんが「閉」とわかります。
参考にしていい川柳でした。

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