川柳 天根夢草選  ・ 川柳をつくってみよう  

天根夢草 1942年島根県生まれ 1959年から川柳を始める  番傘川柳本社同人を経て「川柳展望」創刊に参画。

悔しいねコロナの為に閉める店   東ときわ台/門 德江
寂しいねシャッター閉ざす店多し   大和東/白井育子
コロナよけ閉じた鼻口マスクする  ときわ台/小林泰一
家計簿を閉じて十万来るの待つ   長尾町/瀧 健三
目を閉じて好きな曲聴く自粛中   光風台/松本員子
自主要請つられて心閉じている   岡山市/古徳春奈
目を閉じて遠く聞こえる虫の声    大和東/野中健一
閉じた口開けて餌待つ燕の子     ときわ台/大杉徳子
長い期間閉店セールやっている    大和西/樫本真季
戸を締めて鍵かけるのは妻の役   東ときわ台/金田幸枝
「カギ閉めた」再度確認今日もまた  東ときわ台/瀬野圭子
非常時に国会閉じてどこへ行く    大和東/石田隆司
スーパーの閉店前の特価品      大和西/釋 桂子
冷蔵庫閉まってないと鳴るブザー   光風台/岡田重子
ピーと鳴れば慌てて閉める冷蔵庫   光風台/村上洋美
母が言う開かぬ貝は食べるなと    東畦野/秋山 敏
湿気ぬようきっちり閉める海苔の蓋   ときわ台/小林順子
閉じた口顔を上げたら開いてくる     大和東/高橋昌道
エレベーター開けるつもりが閉を押す ときわ台/松岡悠利子
軍艦島閉じて無駄なく観光化      東ときわ台/宮村順子
佳・証明用写真必ず口閉じる      大和西/小野靖道
佳・口閉じていてはできない歯の治療   周南市/秋貞敏子
佳・駐車場では忘れず車ロックする     光風台/勝藤 隆
佳・目を閉じて過去の風景思い出す   大和西/生島伊都子
秀・厳かに扉を閉じる霊柩車      長岡京市/西山竹里
次の題「鳴る」◎8月10日締切◎秀に選ばれた方にクオカード(千円)を差し上げます。
葉書、メール、FAXで応募出来ます。奮ってご参加下さい。

今回は「閉」という題で作句していただきました。「閉じる」でも「へい」でもいいと思って出題しました。
よい川柳を作る人は、色々なことを思いつくものです。他人様の川柳を読むと勉強になります。
番場の忠太郎瞼を閉じて母に逢うは、門徳江さんの川柳です。
いい川柳です。とんでもない発想が、とてもおもしろいと思いました。
一斉に電車のドアは閉じられる
食べられてなるかと閉じる貝の口
きっちりと区切りを付けるカギ括弧
は、西山竹里さんの川柳です。それぞれに、おもしろいと思いました。電車の扉が同時に閉められるー発見です。観察でもあります。そのことを「当たり前」と思わないところに発見があります。
貝は人間に「食べられてなるものか」と思っていることでしょう。二枚貝も巻貝も、蓋を固く閉じています。「貝」の擬人化の川柳です。
「カギ括弧」の川柳は「閉」ということばを遣っていませんが「閉」とわかります。
参考にしていい川柳でした。

隙あれば見境なしに来るコロナ 大和東/高橋昌道
県境 コロナがこわく家にいる 東ときわ台/金田幸枝
京阪神三つの境意識する    東ときわ台/門 德江
境界線守って並ぶショッピング ときわ台/小林順子
県境を越えて聞こえる出雲弁  長尾町/瀧 健三
切手シート際のミシン目役に立つ  岡山市/古徳春奈
カーテンで個室を作る四人部屋  周南市/秋貞敏子
お隣とブロック塀のよい高さ  光風台/四位好子
交差点レーン守ってスムースに  大和西/山口 景
胸と腹どこが境かわからない  大和東/野中健一
現実と境目のない夢を見る   ときわ台/松林道子
空と海重なり合って境あり   大和西/釋 桂子
水平線キラキラ光る夏の海   大和西/生島伊都子
巣に帰る鳥境界線のないお空  東ときわ台/瀬野圭子
座禅組み無我の境地になりに行く  ときわ台/松岡悠利子
ホトトギス鳴くに昼夜の境なし  光風台/松本員子
親の死を境に故郷遠くなり   大和西/小野いつ子
温暖化四季の境が溶けていく   東畦野/秋山 敏
佳・大阪府ちょっと買い物兵庫県  光風台/村上洋美
佳・境目に植えてはならぬ落葉樹  東ときわ台/宮村順子
佳・トンネルの中に引かれた県境  大和東/白井育子
佳・カーナビが知らせてくれる県境  笹部/井谷定男
佳・国境を意識して飛ぶ航空機   長岡京市/西山竹里
佳・国境線生死を賭ける脱北者   光風台/山下祐一
秀・国境を閉ざすと増える失業   者 光風台/勝藤 隆
次の題「閉」◎7月10日締切◎秀に選ばれた方にクオカード(千円)を差し上げます。
川柳 天 根 夢 草 選
いい川柳は、読む人(読者)を感動させることができます。
読む人(読者)が感動する川柳は、いい川柳です。
読む人(読者)を感動させる
ためには、まず、その川柳の内容が伝わらなければなりません。
作者が何を言いたいのかわからない、という川柳は、いい川柳ではありません。
「伝達」といいます。まず、作者から読む人(読者)に伝達することがだいじです。
その次は、その川柳を読んでおもしろいか、どうかです。おもしろくない川柳は読んでもらえません。
では、どんな川柳がおもしろいでしょうか。
一番は「滑稽」です。滑稽な川柳は読む人(読者)を引きつけることができます。
「ユーモア」と言ったほうがいいかもしれません。人間の生活における「おかしみ」、上品な「しゃれ」や「矛盾」などを詠うと読む人(読者)は、よろこんでくれるでしょう。
今回の「境」では、秋貞さんの「カーテンで個室を作る四人部屋」や、瀧さんの「県境を越えて聞こえる出雲弁」、松岡さんの「座禅組み無我の境地になりに行く」などにユーモアセンスを感じました。三者三様にユーモアがあります。

課題・抜け

アスリート五輪延期で拍子抜け   大和東/高橋昌道
マスクより納税通知先届く   東畦野山手/秋山 敏
検品の手順が抜けていたマスク 長岡京市/西山竹里
抜け道も車で埋まる五連休   大和西/井口久男
三密がトップニュースで抜ける記事  東畦野/磯貝 香
筒抜けの個人情報キャッシュレス  光風台/山下祐一
見抜けない言葉巧みな電話詐欺  光風台/四位龍夫
気持ちよく雑草抜ける雨上がり   大和西/樫本真季
草抜きが面倒なので砂利を敷く   光風台/岡田重子
抜け道と思って行くと行き止まり   大和東/野中健一
抜け道はちょっぴり罪の匂いする   周南市/秋貞敏子
カップメン取り揃えては手抜きする  ときわ台/小林順子
道の駅ワラビに灰がつけてある   大和西/山口 景
大縄跳び参加者みんな気を抜けぬ   光風台/勝藤 隆
虫眼鏡出して小さな刺を抜く    ときわ台/大杉徳子
右の手に刺さった刺は抜きにくい   光風台/四位好子
見る人が見れば手抜きはすぐ見抜く  大和西/小野靖通
来客が帰ってホッと息を抜く    大和西/小野いつ子
抜け殻と言われぬように日々すごす  大和西/石田隆司
また一人抜け寂しいな住所録    大和東/白井育子
年賀状忌中の方を抜いて出す    長尾町/瀧 健三
佳・笑いヨガ笑いころげて抜ける魂  大和西/釋 桂子
佳・三食を抜かさず食べて生きていく  岡山市/古徳春奈
佳・ボランティア一人二人と抜けていく ときわ台/松岡悠利子
秀・県境蝶はひらりと抜けてゆく     ときわ台/松本員子
次の題「境」◎6月10日締切◎秀に選ばれた方にクオカード(千円)を差し上げます。

「抜け」の入選句
葉の水分が抜けると出来るハーブティー 東ときわ台/瀬野圭子
うすい毛の抜け毛一本愛おしむ    東ときわ台/門德江
抜けた歯を祈って投げる屋根の上   光風台/村上洋美
抜歯する前と後では大違い     ときわ台/高木光子
朝昼晩たまに手抜きの昼ごはん   東ときわ台/金田幸枝
底抜けた株の痛みでやめました   東ときわ台/宮村順子

今回の課題を「抜け」にしたのは、「抜ける」「抜けない」の両方で作ってほしいと思ったからです。
松本さんの秀作を読んで、すぐ思い浮かんだのは、あまりにも有名な安西冬衛の、
「てふてふが一匹韃靼海峡を渡って行った」の詩です。
松本さんの川柳は、韃靼海峡ではなく「県境」(けんざかい)です。「ひらりと」というオノマトペがなんとも適切な表現だと思います。
「蝶はひらりと」抜けて行くのですが、私たちは「ひらりと」抜けて行くことはできません。
時は「新型コロナウィルス」の真ん中です。大阪府から兵庫県へ「ひらりと」抜けて行ってはいけないのです。そこまで思うのは思いすぎでしょうか。

トンネルの出口が見えてこぬコロナ   周南市/秋貞敏子
長引く休校ママのお疲れいつまでか   東ときわ台/瀬野圭子
新コロナ長い休みで疲れ果て     光風台/四位龍夫
コロナ居座り体験出来た引きこもり   東ときわ台/宮村順子
長い冬じっと我慢のチューリップ    岡山市/古徳春奈
長すぎて覚えきれないパスワード    光風台/岡田重子
長い名は寿限無寿限無の長助さん    光風台/山下祐一
長い髪バッサリ切って寄附する人    大和西/樫本真季
吸って吐いてそんなに長く出来ないよ  光風台/村上洋美
五年日記五冊の記憶つなぐ今     大和西/小野いつ子
人生の長い道のりふり返り      東ときわ台/金田幸枝
楽しいねつい長電話遠い友      大和東/白井育子
末長く天声人語愛読す        東ときわ台/門 德江
エンドレス円周率はループせず    大和西/山口 景
長い橋瀬戸内海の島つなぐ      長尾町/瀧 健三
お隣の火星まででも長い旅      光風台/勝藤 隆
勇気出し長い物には巻かれない    大和西/生島伊都子
一日がとてつも長いリタイア後    大和西/井口久男
佳・交差点見事に曲がるトレーラー   東畦野山手/秋山 敏
佳・長生きを五年日記に励まされ    大和西/小野靖通
佳・点滴の落ちる時間の長いこと    大和東/野中健一
佳・心配をかけぬ程度にする長湯    長岡京市/西山竹里
佳・長芋が折れないように添木する   ときわ台/大杉徳子
佳・何もない一日長い老夫婦     ときわ台/松岡悠利子
秀・抜けるのを忘れて長くなった眉   大和東/高橋昌道
次の題「抜け」◎5月10日締切◎秀に選ばれた方にクオカード(千円)を差し上げます。

今回は「長」という題で川柳を作っていただきました。
「ちょう」でも「なが」でもいいのです。「長い」「長」ということばを入れなくても、長いこと、長いものなどでもいい訳です。
たくさんの「長」の川柳を寄せて下さいましてありがとうございました。
秀吟には高橋さんの「抜けるのを」を選びました。なぜ、長い眉があるかというと、眉は、抜けることを忘れていた、という発想です。凄い発想だと思いました。ある程度伸びた眉は、抜けていって生えかわればいいのです。抜けることを忘れた眉毛は、切ってもらうまで伸び続けることでしょう。
眉(眉毛)を擬人化した川柳です。こういうふうに「擬人法」をつかった川柳は、とてもおもしろい川柳になりやすいと思います。どんなものでも擬人化してみて下さい。
松岡さんの佳作「何もない」は、きちんとした川柳です。みごとに一組の男女(老夫婦)を括写していると思います。
大杉さんの佳作「長芋」もおもしろい川柳です。「長芋」に「そえぎ」をしている人物の動きがうたってあります。
次の題は「抜け」です。どんな「抜け」か、楽しみです。

「すしざんまい」の社長に買われたいマグロ 長岡京/西山竹里
魚へんだけど鯨は哺乳類          大和東/高橋昌道
池の水ぜんぶ抜きゃいる外来魚       ときわ台/小林泰一
「コブダイ」のコブの中には何がある     東ときわ台/門 德江
釣れませんTVみたいに釣れません      大和西/山口 景
切り身では魚のサイズわからない       大和西/樫本真季
魚ヘン湯呑の周りいっぱいに        光風台/村上洋美
魚偏湯呑で学ぶ楽しいよ          東ときわ台/瀬野圭子
小魚の命をもらい丈夫な歯         大和西/小野いつ子
天然と養殖物の味比べ           笹部/井谷定男
鯉の口餌をくれろと丸になり        大和東/野中健一
観賞魚食とならぬが自負がある       東ときわ台/宮村順子
不吉だな網に掛かった深海魚        東畦野山手/秋山 敏
深海魚どの顔みてもグロテスク       光風台/四位龍夫
命貰うチリメンジャコにもマグロにも    ときわ台/西村大介
隠さずに梅干し入れて魚煮る       大和西/釋 桂子
高血圧進んで食べる青魚         ときわ台/松岡悠利子
魚市で大声出して人を呼ぶ        東ときわ台/金田幸枝
佳・かつお節元は魚と思えない      岡山市/古徳春奈
佳・出世など望んでいない出世魚      大和西/小野靖通
佳・はらわたをとらなくていいしらす丼   光風台/勝藤 隆
佳・獲りたての魚で作る漁師飯      ときわ台/大杉徳子
佳・極楽か水族館の魚達         光風台/岡田重子
佳・ダイバーと並んで泳ぐ魚達      大和西/生島伊都子
秀・長生きは出来ぬ生け簀にいる魚     周南市/秋貞敏子
次の題「長」◎4月10日締切◎秀に選ばれた方にクオカード(千円)を差し上げます。
葉書、メール、FAXで応募出来ます。奮ってご参加下さい。
666-0111川西市大和東4-1-5
ASAサカタ㈱川柳係宛

川柳 天 根 夢 草 選
新型コロナウィルスのために川柳の会も全部休会です。定例句会、勉強会など中止が続いています。6月には全日本川柳協会主催の全国大会が秋田市で開催予定ですが、開催があやぶまれています。
豊能町の「夢華の会」も3月は中止でした。
この「はろーあさひ川柳」は自宅で作っていただくので問題はないと思います。
今回の「魚」は、よい川柳が多くありました。
生け簀にいる魚たちは、いつ殺されるか、とビクビクしながら泳いでいることでしょう。生きた心地がしないと思います。

ダイバーと並んで泳ぐ魚達はダイバーがいることを歓迎していません。やむを得ず並んで泳いでいるのでしょう。
水族館の魚は、不自然で不自由だから、決して極楽ではないと思います。
マグロ、コブダイ、鯉、チリメンジャコ、かつお節など、色色な「魚」を見せていただきました。
次の題は「長」です。「長いもの」をイメージして下さい。
長い物でも、長いこと(時間とか年、月、日とか)でもいいのです。ほか、とんでもない「長い」何かを示して下されば喜んで入選とします。